【レシピ付き】85歳の美ばあば直伝の【長寿ご飯】って?

長年、料理の仕事に携わってきた〝ばあば〟のレシピには、知恵と工夫と愛情がいっぱい。今回は、日本の気候風土に合ったオリジナルの「和食薬膳」を確立した料理研究家の美ばあばが登場。あわただしい毎日を送る美ST世代に伝え遺したい、とっておきのひと皿を思い出のエピソードとともに教えてもらいました。

今日の長生きレシピは、武 鈴子さんの「長寿ご飯」

「日本人が食べてきた伝統的な和食そのものが薬膳なのです」
薬膳とは?という問いに、武鈴子さんは必ずそう答える。

「薬膳の理論は中国で確立されたもの。その真髄を知るほどに、日本人にとっての薬膳とは、昔ながらの和食そのものだということが分かります。ご飯と味噌汁に、焼き魚や煮物、青菜のおひたしや酢の物。それらに旬の素材が盛り込まれた一汁三菜は、季節や素材の特性、調理法のバランスまで理にかなったもの。全体を食べることで、1品ごとの過不足を補い、調和の取れた〝薬になる膳〟となります。食べると『ホッとする』のは、体がよろこんでいるから。言葉通り、お腹の底からおいしいと思えるものを感謝しながらいただけば、健康・長寿が叶います」。

今回、教えてくれた「長寿ご飯」は、まだ寒さの残る時期から春にかけておすすめの一品。
「和食の基本は、ご飯。おかずの要素も入った炊き込みご飯は、忙しい女性にもぴったりです。腸の働きを活性化するごぼうと、胃を養い消化を助けるにんじん、豆腐の組合わせは、『長寿』の名にふさわしいもの。胃腸が元気になれば、五臓すべてが活性化します。体の熱を冷ます寒性のごぼうも、体を温める温性のにんじんと組み合わせることで、ニュートラルな平性の食事に。さらに、早春の味覚である菜の花を加えれば血の巡りが良くなり、冬の間に溜め込んだ老廃物の排出に役立ちます。ご飯には菜の花のつぼみだけを使うので、葉や茎は味噌汁などに加えてもいいですね。私は冬の間に、だいだいのポン酢醬油を作っておき、それで茹でた青菜を食べるようにしています。食事で体が調えば、心も安定するもの。コロナ禍の今こそ、和食を見直しましょう」
教えてくれたのは……東京薬膳研究所主幹・食養研究家 武 鈴子さん(85歳)
鹿児島県生まれ。柳沢成人病研究所にて成人病・食生活の臨床研究と指導に従事し、食養の研究へ。中国四川省の薬膳師・孫蓉燦氏、日中医薬研究会会長・渡辺武薬学博士のもとで薬膳を学び、日本の気候風土に合ったオリジナルの「和食薬膳」を確立。講演・執筆活動や料理教室を開催。共著に『野菜の力をいかす和食薬膳レシピ』(家の光協会)など。

材料(2~3人分)

米……2合
木綿豆腐……1丁(300~400g)
ごぼう……1/2本
にんじん……1/2本
菜の花……1束
柚子の皮……適量
ごま油……大さじ1
塩……適量
A:昆布……10cm角
A:淡口醬油……大さじ1/2
A:水……360ml

作り方

①豆腐はさらしに包み、水切りします
②ごぼうはたわしで洗い、ささがきに
③菜の花はさっと茹でて色鮮やかに
④豆腐は水けが出なくなるまで炒りつけて
⑥米と調味料、具材を合わせて炊きます
⑦菜の花のつぼみを飾って春らしく
①米は洗ってザルに上げておく。豆腐はさらしに包んで、1時間ほど水切りする。耳たぶくらいの硬さになればOK。
②ごぼう、にんじんはたわしで洗い、ごぼうはささがきにして酢水(分量外)にさらし、水けを切る。にんじんは細切りにする。柚子の皮を削ぎ、千切りにする。
③菜の花を湯がく。鍋に湯を沸かして塩適量を加え、菜の花を茎の方から入れてさっと湯がき、冷水に取り、水けを絞る(茎は捨てずに味噌汁などに使う)。
④フライパンにごま油の半量を熱し、❶の豆腐を手で崩しながら加える。絶えず混ぜながら炒りつけ、水けがなくなりポロポロの状態になったら、バットに取り出す。
⑤同じフライパンに残りのごま油を足して温め、❷のごぼう、にんじんを加えてさっと炒め、塩少々で調味し、❹と同じバットに取り出す。
⑥炊飯器に米、Aを入れてさっと混ぜ、炒った豆腐と野菜を加えて炊く。土鍋で炊く場合は、米とAを入れて強火にかけ、吹いてきたら豆腐、野菜を加えて炊き上げる。
⑦ご飯が炊けたらよく蒸らし、混ぜ合わせ、柚子の皮、菜の花のつぼみを飾る。

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2022年『美ST』4月号掲載
撮影/須藤敬一 取材/伊藤由起 編集/小澤博子