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ベテラン美容編集が感動! 薄づきで超美肌になれるリキッドファンデ

光文社で30年以上美容を担当し続けるベテラン美容編集部員が語る、イチオシの殿堂コスメ連載です。今回は美肌が叶うベースメークがテーマ。選ばれたコスメはYSL(イヴ・サンローラン・ボーテ)の「オールアワーズ リキッド」です。

今月の殿堂コスメは、YSLの「オールアワーズ リキッド」

YSLというとカラーコスメが人気ですが、ベースメイクの優秀さにずっと注目してきました。ラディアント タッチ、タン アンクル ド ポーという独自発想の製品は、新しくておしゃれで実用効果も高い名品。それに続く新しいファンデーションもまた、しっかりとYSLの革新的なDNAを受け継ぎ、今、圧倒的な人気を集めています。

カバー力と肌の美しさの矛盾を解決すべく、肌のキメに注目した「スキン フュージング テクノロジー」を搭載。ミネラルピグメントの集合体である「スキン フュージング ネット」によって、理想の美しいキメを模倣するメッシュ構造を形成することに成功した。スキンケア成分77%。ウォータープルーフ、マスクプルーフ、スポーツプルーフのトリプルプルーフ。写真のLN1とLN4はオークル系、LC4はピンク系、LW4はベージュ系。オールアワーズ リキッド SPF39/PA+++ 全10色 25ml ¥7,260(イヴ・サンローラン・ボーテ)。2022年6月3日発売。

\ここがすごい/

1:カバー力と厚ぼったさの宿命を解決
2:肌の美しさの要・キメを模倣する
3:新しい美には限界を超える革新性が必要

カバーで隠すのではなく、美しいキメに成りすます膜を肌にのせる革新的ファンデ

私にとってのYSLは、革新的なベースメイクを作るブランドです。ベースメイクにおいて国産ブランドが優勢だった1990年代、海外から「すごいアイテムが出た!」と情報が入ってきたのは、1992年。それがYSLの「ラディアント タッチ」でした。実用一辺倒の今までのコンシーラーとは異なり、おしゃれで高級感があるパッケージや筆ペンタイプでサッと塗れる利便性で、1993年2月に日本で発売になるとポーチに必ず入っているほどの大人気アイテムになり、今でも広く愛されています。さらに、今では「光を味方につける」という言葉はよく使われる言葉ですが、ベースメイクは覆い隠すもの、というそれまでの常識とは違って、光を操るという観点を世の中に広めたのもラディアント タッチでした。

そして、2015年3月6日に登場したリキッドの「タン アンクル ド ポー」(現在は販売終了)。ツヤ肌全盛の時代に、インク構造に着想を得たこのリキッドパウダーファンデーションは、塗ったときにスッと揮発するテクスチャーと仕上がりの肌感が、当時の主流ファンデとは一線を画すものでした。極薄で密着してカバーしながら素肌感を失わない、現在人気のセミマットファンデの先駆けだったように思います。

YSLの革新性は、一見矛盾しているものを克服していく強さではないでしょうか。2022年6月に発売された「オールアワーズ リキッド」も、ファンデーションの矛盾を克服するYSLの使命がしっかりと詰め込まれた製品です。薄づきなのに肌の悩みが消えて均一な美肌に見える(重ね塗りしても薄付きのまま)、セミマットでありながら生き生きした肌感になる、さらに、しっかりと潤っているのに後肌のサラサラとした手触りにも驚きました。

ファンデーションにカバー力は不可欠です。でもカバーすればするほど美しく見えなくなるという危険性と隣り合わせ。粉体(ピグメント)を多く入れればカバー力が上がりますが、それを溶かすにはオイルなどの基材を増やさなくてはならないため、どうしても厚塗りになってしまうのです。さらなる美肌を叶えるためには、発想の転換が必要でした。そして行きついたのは、「ピグメント自体を〝美しい肌〟そのものにする。カバーして隠すのではなく理想的な美しい肌に作り変える」ということ。

着目したのは肌の「キメ」です。キメとは、肌表面の三角の構造を持つ小さな集まりで、美しい肌は、キメの数が多く、均一であり、サイズが小さい。美しい肌とは、細かく均等なキメの集合体なのです。そんな理想的なキメを模倣するファンデーションを作るために、2019年から3年越しで実現させたのが、メッシュ状ピグメント「スキン フュージング ネット」でした。スキン フュージング ネットはミネラルピグメントの集合体。肌にのせた瞬間から均一で、重ねるほどに美しい肌のヴェールを形成します。ネット構造なので基材が少なくて済むため厚塗りにならず、極薄の厚さを実現。小さく均一なキメの数をたくさん、という理想の肌が、オールアワーズ リキッドを塗ることで再現されるのです。さらに、本来の肌が放つような透明感をもたらすピグメントも使用しています。

基材が少なくなったことでもたらされたもう一つの利点は、スキンケア成分の割合がアップしたこと。くすみにアプローチし、透明感の再現とキープするYSLウリカ コミュニティ ガーデン産のジャスミンエキス、真皮のコラーゲン合成促進をし、ピンとしたハリにアプローチする紅藻エキス、肌表面の保湿力を高めキープするヒアルロン酸が配合され、十分に内側からケアします。また、メッシュ構造が肌をホールドするので、24時間メイクをキープできるようになりました。まさにスキン フュージング ネットは〝神の一手〟だったのです。

化粧品ブランドには〝幸福感〟や〝自分らしい美しさ〟など、それぞれが目指す美しさがあります。YSLは一貫して〝自立した女性〟をビューティで後押ししてきました。美しい肌とは、自分に自信が持てる肌。頑張る勇気を与えるためのビューティ。そして今は、女性だけでなくジェンダーを超え、「プッシュ・ザ・バウンダリーズ(Push the boundaries)」、自分の限界を超えることを掲げています。ムッシュ・サンローランが1966年に男性用タキシードをアレンジした女性用スーツ「スモーキング=タキシード」を発表した時の革新性は、今でも最先端だと言えます。

そういえば、ラディアント タッチの発売時のフランスのプレス資料には、持ち歩く〝ウエポン(=weapon)〟と書いてあり、化粧品にこの言葉を使うのが新鮮で、しかも核心を突いていると感心した記憶があります。強い意志を笑顔の下に隠し、いつも涼しい顔で美しく、かっこよく、時に男前で時に女らしく――で多様な魅力を後押しするのもYSLビューティ。オールアワーズ リキッドに至る現在まで、その精神もまた変わっていません。

 

\使っています♡/

残念ながら販売終了となった「タン アンクル ド ポー」(リキッド)のファンだった私、「オールアワーズ リキッド」はそのパワーアップバージョンですね。とにかくテクスチャーがとても好きです。ほんの軽い揮発性があって、サラッとしていながら乾かない。ひと塗りでも肌の均一感が出てグレードアップしているので、忙しい朝に助かります。湿度や汗などに強いウォータープルーフ、擦れと蒸れに強いマスクプルーフ、さらに地球上で一番軽いパウダーと言われるネオスキンパウダーが入っていて、このパウダーは1g入れると4gの皮脂を吸着するそうです。すごいですよね。だからスポーツプルーフでもあります。半プッシュ(パール大1粒)で、約80回、毎日使って2.5カ月もつそうです。点置きでスッと伸ばして使っています。ムラにならないので塗りやすいのも楽ちん。色はベージュ系のLW4を使用。

編集 I

30年間ビューティ担当 編集 I

『JJ』時代から美容を担当。 スーパーモデルブーム、 日本上陸前のM·A·Cをブレイクさせる。愛ある視点で厳しく化粧品を選び、「コスメは感動!」が信条。美ST ONLINEでの連載「30年目のコスメ愛」も好評。

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撮影/河野 望 編集・文/石原晶子

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