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元・宝塚同期の2人が語る、スター時代から主婦の顔も持つ現在まで

互いに「コマ」、「まさお」と呼び合う宝塚歌劇団87期の同期、沙央くらまさんと龍真咲さん。寝る暇も惜しんで舞台にすべてを捧げていた宝塚時代から、お互いに結婚し主婦としての顔も持つようになった現在の生活まで、何でも話せる仲だからこその打ち明け話を伺いました。

音楽学校のピアノの授業が一緒だったことから仲良しに。宝塚時代は一緒にいることで相乗効果を生み出していた

沙央くらまさん(以下、沙央) 退団後、こうやって二人で対談するのって初めてだよね?
龍真咲さん(以下、龍) すごくうれしいです。宝塚の同期って、友達とか幼なじみとは全く違う関係じゃない?音楽学校の時からずっと苦楽を共にしてきて。入団してすぐの組配属では、コマ(沙央さんの愛称)が雪組、私が月組でバラバラになったけど、遠くから頑張っている姿を見て勇気をもらってた。
沙央 「タカラヅカスペシャル」(年に一度、全組のスターたちが一堂に会する夢の祭典)でしか会わない時期もあったよね。元はといえば音楽学校時代にピアノの授業が一緒だったのよね。出席番号が近かったから仲良くなって。修学旅行も2人でいろいろな所へ行ったし。
 私はピアノが苦手だったんだけど、コマはいつも一番。これ言っていいのかな……、コマってときどき、授業中に寝てたじゃない?でも指名されると普通に歌い出すの(笑)。絶対音感がすごくて!私は練習しても全然だめだったからすごい……と。
沙央 寝てただろーお前、みたいな(笑)。確かに楽譜を読むのは得意だったかな。

 コマはとにかくマメ。しょっちゅう「ヤッホー、頑張ってる?」とかLineくれるし(笑)。
沙央 そんな時にまさかの組替えがあって、私が月組に行ったのよね。
『ME AND MY GIRL』のパーチェスター役でコマが激やせして。
沙央 そんなこともあったね。
 その後、コマがまた専科(特定の組に属さず、公演ごとに異なる組に特別出演する実力派スターの集まり)に異動になったんだけど、コマに「そばにいてほしい」とお願いしたら、作品が合っていたこともあって私の退団までずっと月組の公演に出てくれて。プライベートの話も同期の中では一番していたかも。すごく縁のある人です。
沙央 雪組時代はこれから!という時期で、互いに切磋琢磨していた同期の早霧(せいな)がいて、戦友のような関係だったんだよね。だけど月組に行った時はすでにまさおがトップになっていて、確立された場でどれだけ助け合っていくかというステージにいたから、関係性が特殊なのかもしれない。
龍 二人で相乗効果を生み出していた気がする。何か思うところがあった時に「コマ、あのさぁ……」って言うとすぐに理解してくれて、「ちょっとみんな聞いて!」って組のみんなに声をかけてくれたり。不安なことがあっても「大丈夫だよ」って安心させてくれる。そうやって助けてくれる人だった。

沙央 いやいや。でもまさおの卒業公演(『NOBUNAGA〈信長〉-下天の夢-』)にも出させてもらって、ちゃんと見届けられてうれしかった。敵役だったけどね。私は神輿にかつがれて、最後まで戦い続けた(笑)。
龍 そうだったねー。楽しかった(笑)。
沙央 学年が上がり、ちょうど体がきつくなっていく時期に出番が増えていって、銀橋(オーケストラピットと客席の間にある通路のような舞台)にも出て客席から近くで見られることも意識しないといけなくなって。誰にも言えない悩みをよく話し合っていたよね。

 

お互い結婚して生活が変わっても、同じようなことをしているのが面白い

沙央 宝塚ではアドレナリンが出っぱなしで、ずっと汗をかいているから悪いものも全部代謝していたと思う!退団してから突然動かなくなって、どんどん悪いものが溜まっていく感じで……むくみが出たり体調が悪くなった時期もあって。そして産後が大変だった。肌も化粧水をどれだけつけてもどんどん乾燥するし、いったい何が起きているの?という感じで。
龍 あの時はすごく心配したし、頑張ってもらいたい一心で毎日メールしてた。
沙央 あの頃は本当に支えてもらいました。で、まさおから届いた出産祝いが大量のお肉(笑)!タカラジェンヌといえばお肉だったからね。
 ちゃんと食べてるのかな?と心配になって。私ね、あまり面倒見はよくないけど、気になったらずっと気になる。だから何かあったら声かけてね。

 

沙央 ありがとう。まさおもモナコに行ってから生活が一変したよね。お互い結婚して、主婦としての自分もどこかにある気がする。前はすべて自分だけの時間だったけど、今は人のために動く時間が増えたし、食事も家族の健康のために何が必要かを常に考えて作るようになったかな。自分だけだったら適当に作るけれど、いや待てよ、これを食べるのって自分だけじゃないよね、と。
龍 そういうところ、コマは完璧だよね!私は日本とモナコ半々の生活だけど、結婚したことで、人生の軸が自分一本だったのが二本になったという感覚があるかな。夫は海外での生活がメインなんだけど、離れている時間があるからこそ、一緒にいられる時間がとても大切に思える。家にいるのがストレスにならないようにしたいというのは常に気にかけていて。彼は食通な人なので、モナコでも出汁からこだわって作ったり、発酵食品も常備してるの。日本に帰る前は彼が好きなものをたくさん作って冷凍ストックしてから出発するようにしてる。
沙央 我が家も同じ。すぐに食べられるものを必ずストックしておくようにしてるの。なんか私たち、生活が変わっても同じようなことをしているのが面白いよね。
龍 家ではちゃんと息抜きしてほしいって思うんだけど、うちはめっちゃ、お酒飲むの!そういうのも心配になったりするかな。
沙央 わかる、わかる。まさおにもらったサプリもそうだし、体によいものはできるだけ家族でシェアするようにしてる。家族みんなが健康でいるのが一番楽しいことだから。
 本当にそうだよね。
沙央 こうやって久しぶりに会ってもわかりあえる話が多くてうれしい!
龍 こちらこそ。これからも頼りにしてます!

 

《沙央くらまさんプロフィール》
宝塚歌劇団で雪組、月組、専科に在籍。幅広い役柄を演じきる高い演技力と歌唱力を持った男役スターとして活躍。‘18年に宝塚歌劇団を退団後、舞台、映画、美容など多才派女優として活躍中。来年3月に人気コミック原作の舞台『鋼の錬金術師』に出演予定。

《龍 真咲さんプロフィール》
元宝塚歌劇団月組男役トップスター。『ロミオとジュリエット』など数々の名作に主演し、‘16年に退団後は舞台、ライブ、ラジオパーソナリティなどで活躍。 現在は日本とモナコの2拠点で生活し、オンラインサロン「わたしにもできるSDGs」などを主宰。自らディレクションした2023年カレンダーを予約受付中。

《衣装クレジット》
【沙央さん】ニットポンチョ121,000パンツ47,300 (ともにヴィンス/コロネット)イヤリング22,000(クロディーヌ・ヴィトリー/アッシュ・ペー・フランス)スニーカー97,900(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ カスタマーサービス)
【龍さん】ニットカーディガン55,000 ニットパンツ44,000(ともにアドーア/サンエー・インターナショナル)トップス22,000(ヴィンス/コロネット)ピアス15,400(メドゥスィン・ドゥース/ゴールディ アッシュ・ペー・フランス)フラットシューズ104,500(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ カスタマーサービス)

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撮影/向山裕信(vale.) ヘア・メーク/森岡真紀 スタイリスト/間山雄紀(M0) 取材/稲益智恵子 編集/永見 理

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