SKINCARE

乾燥はNG!エイジングケアのために知っておきたい【正しい保湿ケア】3つ

年々増えるエイジング悩み、なんとなくの肌不調。 実はその悩みを解決するための第一歩は、「保湿」でした。 でも、やみくもにやっても肌力が衰えた肌は潤いません。 良い結果を生むのは正しい保湿! 美肌を取り戻すために知っておきたい〈保湿の基本〉をマスターしてください。

1:乾燥肌になるのは何故?

左が健康な肌の表皮。右が乾燥によりバリア機能が衰えた表皮。

乾燥肌の原因は、紫外線や寒暖差、エアコン、睡眠不足、加齢などによって、バリア機能が衰えることです。バリア機能は、①表皮の最上部にある「皮脂膜」、②角層を満たす「細胞間脂質」、③角層細胞の中にある「天然保湿因子(NMF)」によって成り立ちます。下の左図は保湿され健康な肌。右図のように、乾燥によって表皮の皮脂膜が薄くなり隙間ができ、角層の整列が乱れると、肌の水分がどんどん蒸散。外的刺激もさらに受けやすくなり、肌のターンオーバー(健康な肌は約28〜40日のサイクル)が乱れ、悪循環に陥ってしまいます。

2:ほとんどの肌トラブルは乾燥から起きている

肌の乾燥はさまざまな肌トラブルの発端です。乾燥して硬くなった表皮が落ち込んで細かいシワになり、肌のバリア機能の衰えで紫外線や遠赤外線が真皮のコラーゲン線維やエラスチン線維を破壊し、深いシワやたるみに繋がります。また、細胞間脂質は規則正しい層の「ラメラ構造」を形成して水分を保持するため、不足するとしぼんだ肌印象に。肌のくすみは、①肌表面の凹凸 ②角層の乱れ ③表皮の着色(メラニン) ④真皮の着色(糖化、カルボニル化)が表皮に透けて見えるという理由の他に、⑤ターンオーバーの乱れで角質が正常に剥がれ落ちないのも原因ですし、角層水分量の少ない人は肌の透明感が低い、といった研究結果もあります。そして、バリア機能が衰えると外的刺激によってトラブルを起こしやすくなり、NMFが減少して水分を留める力が低下することが敏感肌の一因になります。

・シワ

乾燥状態では水分不足と皮脂の減少により、表皮が硬くなりキメが乱れ、細かいシワ(ちりめんジワ)に。また、真皮のコラーゲン線維などがダメージを受けると深いシワの原因に。

・たるみ・ハリ不足

乾燥によるバリア機能の低下で紫外線や遠赤外線が真皮まで届き、活性酸素が発生してコラーゲン線維やエラスチン線維を破壊されると、弾力とハリが失われ、たるみ肌に。

・くすみ

肌のくすみを起こす要因は、①肌表面の凹凸 ②角層の乱れ ③表皮の着色(メラニン) ④真皮の着色(糖化、カルボニル化)が表皮に透けて見える、などさまざまだが、肌の乾燥を防ぎ保湿することが予防と対策の第一歩。資料協力/富士フイルム

・敏感肌

バリア機能が低下し、水分が逃げやすく、紫外線、遠赤外線、アレルゲン、細菌などが簡単に侵入でき、トラブルを起こしやすくなって回復しにくくなるのが、敏感肌。

→保湿すればこんなトラブル知らずの肌に

バリア機能がしっかり働き、外的刺激を防いで水分を逃さず、表皮の角層に保水できるようになった肌。保湿ケアを正しくして、このような肌を取り戻したい。

3:保湿ケアはどこに効かせればいい?

角層の中・下層まで届かせるのが今の保湿ケアの核心です。保湿にとって特に重要なのが、細胞間脂質と角層細胞です。つまり細胞間脂質と水分を蓄えられる角層こそが保湿すべきところ。表皮中にある角層はたった0.02ミリでラップの厚さ程度しかありませんが、10~20層ほどの角層細胞が重なってできています。「角層は肌表面からみて上・中・下層の3層構造でできています。上層は水分が出たり入ったりするのですが、中層はスポンジのように水を蓄えることができる、そこにいかに水を保持させることができるかがキーとなります」(コーセー/研究所皮膚・薬剤研究室 小林豊明さん)。

水分を与えるだけでなく留める力を育てる成分を選んで

「医学書によると理想的な角層の水分量は20%、水分チェッカーなどで調べた場合、理想的な水分の割合は35~50%、油分は20~30%と言われています。水分を与えるだけが保湿ではなく、肌の中に水分を留めるには油分も重要、水分と油分の正しいバランスがバリア機能の強化の鍵です。表皮は外界の異物の侵入を防ぐ壁でもあるので容易に化粧品の成分は入らないため、皮脂膜と似たオイル配合製品を使うと馴染みやすくなるでしょう。さらに肌内部に水分を留めるための成分を選ぶことが大切。細胞間脂質は主にセラミド、脂肪酸、コレステロールでできているので、肌の乾燥に対抗できるほどの量のセラミドやその働きを高めるケアを。半分がアミノ酸とアミノ酸からできるOCAから成るNMFの不足には、アミノ酸配合の製品で。最後に肌の表面にはクリームなどで膜を張り、しっかりと水分の蒸散を防いでください」

41歳。東京医科大学卒業。東京女子医科大学で研修後、皮膚科学教室に入局。その後、いくつかの病院を経て、現在は、つちやファミリークリニック浅草院院長として1日に100人以上の肌悩みと向き合う。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。

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2022年『美ST』12月号掲載
取材/大佛摩紀、今福英美 イラスト/まるはま 編集/石原晶子

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