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【乳がん】を克服した52歳美魔女に聞いた、女性特有のがんとの向き合い方

日本人の2人に1人は何かしらのがんに罹患すると言われる今、しっかりとした備えが必要です。37歳の時に乳がんを罹患した美魔女が、わたしたちに伝えたいこととは?女性特有のがんについても、医師にアドバイスを聞きました。

手遅れになる前にも、きちんと検診を受けることが大切!

乳がんだと発覚する前は、風邪は引かないしとにかく健康で自分は免疫力が高いと思っていたので定期的な検診は受けていませんでした。その少し前に離婚したタイミングで生命保険を解約していたので、治療や乳房再建にお金が掛かり正直大変でした。

がんについては、どこか他人事だったと思います。その反省も踏まえ、今は生活の備えをするようになり、保険も6種類入っています。がんサバイバーだということを公表しているので相談を受けることが多いのですが、30代後半からは定期検診は受けた方が良いとお勧めしています。特に婦人科系は早い段階で見つかれば治ることも多いので、見落としのないよう受ける病院や検査方法をきちんと考えて受けると良いと思います。

写真は、抗がん剤使用後に髪の毛が抜け落ちて、最初にがんセンターで購入した医療用ウィッグ。ショートボブのものから使い始め、サイズや形が自分の頭に合う合わないもあったことや、違う自分になれるのが楽しくて集めていたら50個以上に。現在も髪質が細くなって切れやすくなり毛量も少なくなったので、出掛けるときにはファッション用ウィッグを帽子のようによく被ります。ウィッグの下のネットを耳を覆い隠すように被るという裏技を使うと、フェイスラインが引き上がって小顔効果があるので、やめられません。

《Profile》
2軒目のエステサロンオープンを目前に控えた37歳の6月、5歳の息子がたまたま触った左乳頭から茶褐色の液体が出てきて、翌日検査すると乳がんとの告知。翌月に左胸全摘手術。全摘の翌年、幹細胞での再建手術も満足できず、その翌年にシリコンで再建。

女性特有のがんは罹患率も高いので必ず検査を受けましょう

1:乳がん

▶︎女性が患うがんで最も多いですが、早期発見すれば比較的治りやすいがん

Q. マンモグラフィーとエコー、どちらを受けるべき?
対策型検診はマンモグラフィーのみが対象、年齢は40歳以上、2年に1回です。ただ、50歳未満のアジア人の8割がマンモグラフィーで乳房が白く写るタイプのいわゆる「高濃度乳房」なので、マンモグラフィーだけでは読み切れない場合があります。なので、ドックではマンモグラフィーとエコー併用が主流で、がん発見率も1.5倍になります。

Q. 石灰化してると言われたけど、危険性は高いですか?
マンモグラフィーの石灰化というのは、全くの良性の場合でも映ることもありますし、本当にがんを疑う悪性の石灰化もあります。触ってしこりがふれるかどうかと石灰化の有無は必ずしも一致しません。悪性を疑う石灰化の形なのかはマンモグラフィーの読み分けという読影の力量にかかってきます。

Q. リスクの高い人はいますか?
乳がんは女性ホルモンエストロゲンが関与しているため、エストロゲン分泌が高くなる月経の回数が多い人ほど、リスクが高いといえます。生活習慣のリスクも大きく、確実にわかっているのがアルコール過量摂取。受動喫煙も含めてタバコはだめです。太っていることもリスクになります。またいわゆる遺伝性乳がんの方は大体5~10%ぐらいと言われています。

Q. 無痛の検査ができるようになったって本当?
最新の乳がん検査方法として、無痛MRI乳がん検診というものがあります。マンモグラフィーは痛い、エコーは胸を出すのが恥ずかしいなどというお声がありますが、無痛MRI乳がん検診はTシャツや検査着を着たまま乳房型にくり抜かれたベッドにうつ伏せになることで行い、無痛です。まだ少ない機械なので、今後が楽しみですね。

2:子宮

▶︎膣に繋がる子宮頸部と出産まで赤ちゃんが育つ子宮体部のがんに分かれます

Q. 死亡率が低いわけは?
子宮頸がんはほぼHPVの感染が原因なので、ワクチンを打つことで感染を予防できます。公費でのHPVワクチン接種は、現在は小学校6年から高校1年まで受けられます。基本的に子宮頸部細胞診での検診が有効とわかっているので、HPVワクチンと2年に1回の定期検診でかなりの確率で防ぐことができます。

Q. 検査はどのくらいのペースで受けるべきですか?
子宮頸がんの対策型検診は20歳以上で2年ごとになっています。年齢の上限も設けられていません。子宮体がんの検査は子宮内に器具を挿入して細胞を採取するため、全ての女性に行う検査ではありません。経膣超音波で子宮内膜が厚い場合や不正出血がある方に、リスクとベネフィットを説明して任意での検診に。経腟超音波は情報量が多く、婦人科の先生は1年に1回の超音波検査をお勧めしています。

Q. 子宮頸がんと子宮体がんについて教えて
子宮頸がんと子宮体がんは全く別もので、原因も違えば検査方法も違います。子宮頸がんは、基本的には95%以上原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染です。対策型検診は20歳以上で2年ごとに。子宮体がんは40代後半から増加しますが対策型検診対象ではなく、不正出血があればすぐに医療機関の受診をお勧めします。

Q. 子宮筋腫や子宮内膜症の人はリスクが高い?
子宮内膜症、子宮筋腫、生理痛などと子宮がんは直接の関係性はありません。子宮内膜症のうち卵巣にできるチョコレート嚢腫は閉経後卵巣がんのリスクがあるので、見つかった場合は切除するなど何かしらのフォローが必要になります。

女性が気をつけたいがんは?

●2019年罹患数の順位(女性)
1位:乳房
2位:大腸
3位:肺
4位:胃
5位:子宮
(元データ:全国がん登録罹患データ)

●2020年死亡数の順位(女性)
1位:大腸
2位:肺
3位:膵臓
4位:乳房
5位:胃
(元データ:人口動態統計がん死亡データ)

他の部位に比べ、女性は乳がんの罹患率が圧倒的に高く、30代後半から一気に増えます。しかし、乳がんの罹患率は1位ですが、早期発見・早期治療により救命できるがんになっており、死亡数は4位になっています。

総合内科専門医、日本人間ドック学会認定医、健診専門医・指導医、検診マンモグラフィ読影認定医。
●イーク紀尾井町
東京都千代田区紀尾井町1-3 東京ガーデンテラス3F ☎03-6910-0391 女性専用検診日はクリニックに確認を。

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2023年『美ST』1月号掲載
撮影/岡本卓大、平林直己 ヘア・メーク/神谷真帆 スタイリスト/北橋野枝 取材/菊池真理子 編集/佐久間朋子

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